■独特の要素

「吹けば音が鳴る」鍵盤ハーモニカですが、
それでも「鍵盤ハーモニカならではの要素」というものがあります。
特殊奏法や音の鳴らし方などがそれです。

■唄口(マウスピース)

マウスピースは演奏の方向性を決定づける大事な要素です。
また、逆にマウスピースを付けずに楽器へ直接口を当てて演奏するプレイヤーもいます。

マウスピースは単体販売していることもあり基本的に楽器とマウスピースはメーカーを合わせるものですが、
一部違うメーカーのものでも合うことがあります。

〇立奏唄口
短いパイプ状のマウスピースです。
演奏時には楽器付属の手バンドに手を入れるか直接楽器のカバーのどこかを持って演奏します。
形状も色々あり、単純なツバ付きパイプのものやリコーダーの吹き口のようなもの、
金管楽器のマウスピースの形状のものなどがあります。

特徴としては
・種類が豊富
・急激な音量変化が付けやすい
・鍵盤が見にくい
・洗うのが簡単
といったものがあります。

〇卓奏唄口(ホース)
鍵盤ハーモニカと言えば白いホース、というイメージを持つ方も少なくありません。
小学校などではよく伸ばしてしまうからかホームセンターなどでも販売しています。
メーカーによって咥える部分や楽器に接続する部分が違っています。
机に置いたり、手バンドで楽器を持って演奏する他
ストラップを使用しての「両手弾き」に使うことも多いです。

特徴としては
・鍵盤が見やすい
・息の抵抗が立奏唄口に比べて増える
・立奏唄口に比べて破損しやすい
・洗うのが大変
といったものがあります。

〇フレキシブルマウスピース(半固定)
近年登場したマウスピースです。
任意の形で固定することが出来るので自分の好きな位置に咥える部分を持ってくることが出来ます。
・自由に形を変えられる
・立奏唄口より鍵盤が見やすい
・楽器を動かすとマウスピースも動くので自由度は卓奏唄口に比べて劣る
・種類が少ない

■楽器の持ち方

楽器としては珍しく、「正しい持ち方、構え方」というものが現状では存在しません。
これはメソッドが確立されていないということの他、
「マウスピースで持ち方が変わる」という鍵盤ハーモニカ独自の要素が大きいです。

〇手バンドで持つ
鍵盤ハーモニカには手バンドがあり、それに手を通して演奏します。
スタンダードな方法ですが、どんな唄口でも使えます。

〇楽器のどこかを持つ
立奏唄口を付けて楽器のエンド部を持って演奏する人もいます。
子供向けの楽器であるため手バンドが入らない、
あるいは単純にその方が演奏しやすいという理由です。

〇机などに置く
鍵盤ハーモニカを机などに置いて演奏します。
机の他にも膝の上や、ピアノやオルガン等別の楽器に置いて一緒に演奏するという人もいます。

〇ストラップを使う
ギターやサックスなど、他の楽器のストラップを使って、立って演奏することも出来ます。
SUZUKI PRO-44H/HPには既にギターストラップピンが付いています。

■特殊奏法

〇ブレスコントロール
入れた息の強さに応じて音量が変化します。弱い息だと小さい音、強い息だと大きな音になります。
これを利用した音量表現が可能です。

〇和音
多くの吹奏楽器と違い、任意の和音を鳴らすことが出来ます。
和音を出しながらブレスコントロールも可能です。
ただ押した鍵盤の数に応じて必要な息の量が増えるので注意してください。

〇タンギング
上の「息鳴らし/息止め」とも関係しますが、吹奏楽器で多く用いられるタンギングも可能です。

〇ビブラート
ビブラートは簡単に言えば「音を揺らす」テクニックです。
音程、音量、音質の3種類がありますが、鍵盤ハーモニカの場合音量によるビブラートがメインです。

〇ベンディング
ハーモニカやギターなどでも行われるベンディング(音程の連続的変化)も可能です。
鍵盤を浅く押して、息を強く入れることで音程が低くなります。

〇フラッター/トレモロ
フラッターはいわゆる「巻き舌」で演奏する奏法、
トレモロは舌を小刻みに動かすことで断続的に音を鳴らすテクニックです。

■両手弾き

ここで言う「両手弾き」は楽器を机に置いてピアノやオルガンのように両手で弾くものではなく
近年鍵盤ハーモニカのプレイヤーで行われている特殊な両手弾きです。

・ストラップをかける、もしくは座って膝に楽器を立てる
・右手はそのまま、左手は通常押さえるのとは逆で黒鍵側からチェロの弦を抑えるように押す

というテクニックで無伴奏の独奏を行うことが出来ます
(もちろん他の楽器と合わせることも出来ます)。

■「息鳴らし/息止め」「鍵盤鳴らし/鍵盤止め」

鍵盤ハーモニカは「鍵盤を押す」「息を楽器内に送る」の2つの動作が両方行われることで発音します。
しかし実際にはこの2つが同時に行われることはほとんど無く、大抵はどちらかが先になります。

〇息鳴らし、息止め
「息鳴らし」は、まず鍵盤を押して空気の出口を開いてから、息を入れることで発音する方式です。
リズムは息で合わせることになります。
「息止め」は逆に息を止めることで音を止めることです。

特徴としては出音がナチュラルであること、音量ゼロから音量ゼロへの音量表現が可能なこと。
リードへは瞬間的に強い息を与えることになるので息が強すぎて音が鳴らない現象(吹き詰まり)が特に低音で起きやすいです。
また特に息を止めたときにも若干リードが震えたままなので音の止まりが遅れます(サスティン効果)。

〇鍵盤鳴らし、鍵盤止め
「鍵盤鳴らし」は事前に楽器へ息を入れてから、鍵盤を押すことで発音する方式です。
リズムは指で合わせることになります。
「鍵盤止め」は逆に鍵盤を離すことで音を止めることです。
発音、消音共にバルブが完全に開いていない状態で息を入れることになるので、
全体的にベンドがかった音になるのが特徴です。
また鍵盤で発音を止めると急に音が止まる効果があります。

同じ楽器でも奏者によって音色が違う理由の1つがこの「鳴らし/止め」にあります。
あくまで傾向ですが、管楽器を経験している人は「息鳴らし/息止め」、
鍵盤楽器を経験している人は「鍵盤鳴らし/鍵盤止め」をしている方が多いです。
傾向をベースに、付けたい表現で鳴らし、止めを変えるのがベストでしょう。

なおスラーで(一息で)演奏している途中の音は全て鍵盤鳴らしになりますが、
別の音が鳴っている時に次の音のバルブを連続的に開くというプロセスを取っているので
スラー中の音はベンドがかった音にはなりません。
■吹き詰まり(音が鳴らない現象)

「吹き詰まり」というのは、簡単に言ってしまえば「リードが振動しないため音が鳴らない」という現象です。
不良ではなく対策出来るものであることをご確認ください。

〇水滴による吹き詰まり
いつもはきちんと音が出てたのに時々音が鳴りにくい、あるいは鳴らないという場合があります。
これは水滴がリードに付着してしまったことが原因です。

主に結露が原因なので一番の対策は楽器の中(リード)の温度を上げることですが
中が温かくなる前の場合、小刻みに息を入れる→吸うの繰り返しをしたり
吹きながら鳴らない音のキーを何度も連打するといった方法で鳴るようになります
主に吹き口に近い低音で起きやすいです。

〇息の入れ過ぎによる吹き詰まり
それぞれのリードには「息の強さに耐えられる限界」があります。
その強さを超えると振動すること自体が行わらず、音が鳴りません。

対策としては限界より弱い息で吹くことですが、レスポンス調整で改善することも出来ます。
詳しくはリート調整、調律のページをご覧ください。

なお、それぞれのリードには同様に「振動が出来るまでの一番弱い力」もあります。
これを下回る息だと音はなりません。これも気になる場合レスポンス調整で改善することがあります。
〇その他音が鳴らない原因
リードとプレートとの間に髪の毛やティッシュ片が挟まっている等の異物付着があります。
その他リードが折れるという場合もありますが、
この場合リードが半音以上下がってから鳴らなくなるという現象が起きます。

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