1mm未満の精度を必要とするため、リード調整は慎重に作業してください。また、リードに施された防錆コーティングを剥がすことになり、そこからピッチ変動がまた起こる可能性もあります。予めご了承ください
■ピッチ調整
・調整の目的
主にピッチの調整は、「狂っている任意の音を他と合わせる」「全体の音程を変える」という目的で行われます。前者は一音だけおかしな音を治す、後者は例えば全体的なピッチの高いピアニカ(通常A=446Hzくらいあります)の音をA=442辺りに下げるといったものです。
・ピッチ調整のセオリー
ピッチ調整の場合、セオリーは以下の通りになります。
a:ピッチの低いリードはリードの先を削ると音が高くなる。
b:ピッチの高いリードはリードの根元を削ると音が低くなる。
ピッチ調整の仕方は、リードの下にレスポンス調整のときにも出てきた「薄くて硬いもの(専用工具が望ましいです)」をかませてリードの先か根元を棒ヤスリで削るというものです。かませる道具はやはりマイナスドライバー等で、他にも模型屋さんやDIY店で売っているプラ版を使って自作するなどの手段がありますが、ギターピックを下にかませるという方法もあります。ただし、"THIN"(薄い)とか"SOFT"(柔らかい)とか書かれている薄い物を使用してください。これならプラスチックでリードにダメージを与えずにすむ上、ピック自体面の角が削られているためリードの下に潜らせやすい、更に100円という安さなのでお薦めの方法です。
また、テレフォンカード等の磁気カード(オレンジカードやポイントカードに使われるものは更に薄い)を下にかませるのも高い音のリードでは有効になってきます。
最高音に近い極薄のリードの下にかませるのはコピー用紙という方法もあるんですが、ヤスリをかける時にネジを削ってしまう恐れがあります。この方法を行う場合はネジなどにヤスリが当たらないように気をつけてください。
先の場合は少し削るだけですぐにピッチが変わるんですが、根元の場合は少し多めに削らないとピッチが変わりにくいので、この辺のギャップに気をつけてください。
ピッチを確認する場合は、チューニングメーターのチューナーマイクを空気箱に貼り、自分の好みの強さの息できちんとしたピッチで鳴るかどうかを確認します。強く吹くにしたがってピッチが下がるので、必ず一定の息でチューニングすることを心がけてください。
それぞれのチューニングのバランスの取り方は、オクターブの音を吹いて「うなり」が起きないかでする方法もあります。リードの開きと吹き込みの強さにより微妙にピッチが変わるので、いずれにせよまずは好みのレスポンスに調整した後そのレスポンスの特性に合わせてピッチを調整するのが順番になると思います。
・リードの「かえり」について
リードを削ると、特に高いリードにおいて金属の「かえり」という現象がおきます。
鍵盤ハーモニカのリードは比較的柔らかい金属を用いているため、削ることによりそのリードが部分的に0.1mm単位で横に伸びてしまうのです(正しい名前を模索中ですが、和包丁を研ぐ時にも似た様な現象が起こるため同じ「かえり」という言葉を借用しております)。

「かえり」についての概念図、及び対策の図
図解で説明すると上の通りです。対策としては、「横を削る」というものをする必要があります。普通のリード削りと要領は一緒で、リードの横(エッジ部分:刃物に例えると刃になる部分)をヤスリで軽く削ります。
「かえり」が取れていない状態でそのリードの音を鳴らすと、リードとプレートの耳障りな干渉音が鳴る(「キーン」という音が鳴ります)ので、そうなった場合は早急に調整する必要があります。
・ピッチ調整の限界、及びリード削りによる弊害
1つのリードをどこまで調整できるかですが、これについて実験してみました。
実験に使用したものはヤマハピアニカP-32D、リードはg2ですが、音を高く出来る限界は90セント(100セントが半音)でした。ただしここまでやるとリードがコピー紙より薄くなってしまい、音色、今後の演奏やそのリードの寿命のことを考えると使い物にならなくなります。
このことからピッチ調整は、あくまで微調整にとどめるべきであることが分かります。どうしてもリードがへたっていると思ったら、即リードプレートを交換することをお薦めします。