■エレアコ化した鍵盤ハーモニカについての考察
・エレアコ鍵盤ハーモニカの問題点
問題は主に3つに絞られてきます。ひとつは接触ノイズ、もうひとつはハウリング、最後にピックアップポイントです。
まず接触ノイズですが、クリックノイズ(鍵盤を叩く時に出る音)に関しては爪を短く切るという措置をすればある程度の対策になります。音量を上げて普通に演奏すればそれほど気にはならなくなるはずですが、非演奏時におけるノイズも同時に考えるべき要因になってきます。裏カバーを触る音などが気になる場合は、「ノイズゲート」という「一定の音量の音を通過させて、それ以下の音を通さない」というエフェクタを使うといいと思います。特に静かな曲などでは由々しき問題なので、気になるのであれば導入を考えてみてください。
次にハウリングですが、実はハウリングする周波数はかなり限定されてきます。僕のV2ならg2とa♭2の間くらい。この音の高さ(周波数)は数値で割り出すことが可能です。
その周波数をイコライザでカットするか、またはアコースティックギター用でハウリングを自動でカットしてくれる「アンティフィードバック」というものを搭載したものを使えば問題ないそうです。
そして「ピックアップポイント」ですが、これが一番の問題になってきます。コンタクトピックアップを真ん中くらいに貼ったとしたら、その真ん中付近の(つまりc2周辺の)音が他の音に比べて若干強くなってしまいます。これの対策はピックアップの近くの空気箱に「重り」をつけることになります。もちろんイコライザで補正も可能です。
・エレアコ鍵盤ハーモニカ用エフェクタの接続例
ピックアップはハイインピーダンスのギター用ということで、基本的に使えるエフェクタやアンプなどの機材はギターと共通してきます。
普通ギターアンプのボリュームは2ボリュームと言って、出力を決める”GAIN”とそれを前提に最終的な音量を決める”VOLUME”の2つが標準搭載されています。これはエレキギターの常套手段である「歪み」をアンプで起こすというものなのですが、鍵盤ハーモニカの場合あまり関係ありませんので2つのつまみを気に入った音量で出せれば問題ありません。また、設定によって同じ音量でもノイズが大きかったり小さかったりしますので、なるべくノイズの少ないものにするといいでしょう。
僕の使っているエフェクタはこんな感じです。
・NS-2 Noise Suppressor
「ノイズを鎮めるもの」という意味で、名の通りアンプから出る「サァーッ」というノイズをシャットアウトしてくれるエフェクタです。
エフェクタは普通直列つなぎ、つまりそれぞれが「線」になるように配線するのですが、このエフェクタの場合「ノイズの出やすいエフェクタをループ(輪っか)に入れる」というやり方を採用しています。画像の青い部分がエフェクタのループがそれです。通常の注意点としては下記の「ディレイ、リバーブ」というエフェクタを入れないこと。残響が不自然になるためです。
同じメーカーのコンパクトエフェクタをコンセントから一括で電源供給するパワーサプライの役目も果たす便利なエフェクタです。
・Pre-Amp
「最後に付くアンプの前で音を大きくする装置」で、使っている製品は"Magic Mic Room"と言うものです。正確にはエフェクタではなく、「マイクプリアンプ」というマイク用の出力増幅装置です。使用しているコンタクトピックアップは出力がかなり弱いためこれを使って音量を大きくしてやる必要があります。勿論ギターアンプで無理やりボリュームを上げる手もあるんですが、ノイズの点や機材に対するダメージを考えるとこちらの方が有利です。とは言ってもこれそのものがノイズの原因にもなるため前述のノイズサプレッサは必須アイテムです。アルカリ9V電池で20時間も保つんですが、アダプタから電源を取ると100mAの電流を消費します。
・CS-3 Compression Sustainer
「圧縮、引き伸ばし装置」という直訳ですが、大きすぎた音を小さくしたり小さい音を大きくするエフェクタです。「減衰音」であるギターの小さくなっていく音を伸ばしたり、俗に言う「コンプサウンド」というつぶれた音を出すのに使います。
この配置の場合は鍵盤ハーモニカとプリアンプから出てくる「大きすぎた音」を調整するために用意していますが、これを使って2台目のプリアンプとして活用することも可能です。調整次第でいろんなことが出来るエフェクタです。
・GE-7 Graphic Equalizer
よくスピーカーやアンプで"BASS""MIDDLE""TREBLE"というつまみがありますが、あれと機能は同じ物です。ここで使っているイコライザは「グラフィックイコライザ」というスライダー方式のもので、7つの特定周波数を強調、またはカットするものです。イコライザは元々「等化器」という意味でスピーカーから出る音の中から低音が出すぎて気になるからちょっとカットとかと言う目的で使うものなのですが、楽器で使う場合は中音域の音を強くして癖のある音を作るとかという積極的な使い方をします。
鍵盤ハーモニカでの主な使用目的は音質を変えるのとハウリング対策の2つです。設定の仕方としては、低音域をカットしてあとは好みというのがセオリーになると思います。
・AC-2 Acoustic Simulator
エレキギターの音をアコースティックギターの音にするエフェクタです。つなげてONにした場合音そのものがかなり変わります。エフェクタの配置的にここには「音そのものを変えるもの」を入れることになるんですが、今のところこれを採用しています。普通はコーラス、フェイザー、フランジャーなどを入れるのがいいんじゃないでしょうか。
・DC-3 Digital Dimension
一般に「コーラス」と呼ばれる、音に揺らぎを与えて単音ハーモニカを複音ハーモニカのような音にする効果をもったエフェクタです。これは普通のコーラスに比べて揺らぎ感が少ないため気に入って使ってます。音色そのものを変えるという意味では上のAC-2と同じような使い方をするんですが、複音ハーモニカというよりはアコーディオンという感じがしないでもないです。
・SC-70 Multiple Effect Processor
「マルチエフェクタ」と呼ばれるもので、たくさんのエフェクタを1つにまとめたものです。ギター用のものは各社よりいろんな製品が出ているのですが、僕はマイクやキーボード等多目的に使えるこのエフェクタを使用しています。
通常こういったマルチエフェクタというのは単体で使うものなんですが、このエフェクタにはプリアンプ機能が付いておらずセンド&リターン端子(NS-2で出てきた「ループ」用の端子)も無いため普段は「モジュレーション系」(または「空間系」)と呼ばれるエフェクト、残響音を発生させる「リバーブ」、ひとつの音を鳴らしたら定期的に「音の遅れ」を発生させる「ディレイ」のみを使用します。たまにこれに搭載されていて手持ちのコンパクトにないエフェクト、例えばピッチシフター(出した音と一緒に違う音程の音が出るエフェクト)等を使ったりコーラスを2重掛けしたりする時もあります。
ちなみにこのエフェクタはよく見かける足で操作するものではなく、ひとつの小さな箱になっています。単体で使う場合取り回しが便利なエフェクタです。また、足でエフェクトを操作したい場合は外付けでスイッチをつけることが出来ます。
これらは全てギター用機材なので、ケーブル類も全てギター用になります。これについては各社よりいろんなケーブル(ギター用語では「シールド」といいます)が出ていますので、探してみてください。なお、楽器と最初のエフェクタ、またはアンプにつなげるケーブルは軽いものにしましょう。
また、エフェクタはギター用でいいけどアンプはキーボード用のモニターアンプがいいとかミキサーにつなげてシンセサイザーみたいに使いたいという方は、別途「ダイレクトボックス」という機材を買う必要があります。音響機材のセオリーとして「ロー出しハイ受け」というものがあって、インピーダンス(抵抗)の高いギター用機材からインピーダンスの低いキーボードアンプやシンセ用機材を使うことは音質的に出来ません(なお、ピックアップからエフェクタの場合も同じことが言えます;ただしギター用エフェクタはこの辺をきちんと考えてあります)。そこでダイレクトボックスという機材を使って機械処理し、インピーダンスをモニターアンプなどより下げた後につなげるという手順が必要になってきます。
このダイレクトボックス機能を備えたアコースティックギター用エフェクタというものも出ていますので、そちらもお薦めです。ちなみにここで出ているBOSSのもので”AD−3”、”AD−5”というものがそれに当たります。これらは更にハウリングをカットしてくれる機能があったりリバーブやコーラスのエフェクトがあったり「プリアンプ」というコンタクトピックアップに不可欠な音量増幅装置がついていたり至れり尽くせりなので、ひょっとしたらエレアコ鍵盤ハーモニカ吹きの常備エフェクタになるかもしれません。